ウガンダの同性愛者厳罰法に対し
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先にお伝えしたニュース「ウガンダ大統領、同性愛者に終身刑を科すことができる法案に署名へ」の通り、ウガンダのムセベニ大統領が反同性愛法に署名しました。2月24日、大統領は首都カンパラ近郊で記者会見を開き、その場で署名。これにより、今後、ウガンダ国内で同性愛者は「初犯」で禁錮14年、「悪質な同性愛行為」を犯した者には終身刑が科されることになります。また、同性愛を「助長」する行為を禁じ、国民に同性愛者の告発を義務付けています(同性愛者の通報を怠った場合も罰せられます)
署名に先立ち、人権擁護団体や国際社会から強い批判がありましたが、ムセベニ大統領は「欧米の生活様式を残念に思うが、それに関してわれわれが声を上げることはない」と述べ、批判を無視して署名を敢行しました。
その直後、国連のピレイ人権高等弁務官は「差別を制度化するものだ」と同法を厳しく非難しました。ピレイ氏は「性的指向に基づいて個人が嫌がらせや暴力を受けることにつながりかねない」と指摘し、HIV感染予防や治療に悪い影響を及ぼすと警告しました。
アメリカのケリー国務長官も声明で「深く失望した」「明らかな人権侵害だ」と非難しました。そして、「この法律が、HIV感染者への対応など、ウガンダの衛生分野の後退につながることを強く懸念する」としたうえで、経済支援を含め、ウガンダ政府との関係を見直す方針を明らかにしました。ホワイトハウスのカーニー報道官は「嫌悪感を感じるこの法律の撤回を求めていく。ウガンダをはじめ世界中の同性愛者の人権を訴えていく」と述べました。
また、オーストリアはウガンダへの支援を再検討するとし、デンマークとノルウェーはウガンダ政府には支援資金を提供しないと表明しました。
また、27日には、ケリー国務長官が直接、ムセベニ大統領に電話で「深い失望」を伝えました。長官は同法成立が両国関係を難しくすると警告し、また、同性愛者を含む全てのウガンダ国民の安全を守るよう迫りました。両者は同法がHIV感染対策やウガンダの観光産業、外国投資に与える悪影響についても話し合ったそうです。
同性愛者を根こそぎ逮捕するという世界的にも極めて苛酷な法案が成立した翌日、ウガンダの大衆紙『Red Pepper』に「発覚!ウガンダのホモトップ200」という見出しが躍りました。同誌がゲイだと見なす人々の写真に加え、それぞれが及んだとされる行為が生々しく記述されているものです。ウガンダの活動家は「メディアによるいわば『魔女狩り』だ」と非難しています。(ウガンダでは2011年にも別の新聞が一面で同様の記事(写真と氏名、住所)を「こいつらをつるし上げろ」という文言とともに掲載し、ゲイの活動家デヴィッド・カト氏が撲殺される事件が発生しています)
この事件について、アメリカ国務省のサキ報道官はすぐに記者会見を開き、「個人のプライバシーに対する危険な侵害だ」と非難しました。ウガンダで成立した同性愛者への罰則を強化する法律について「差別を助長するだけでなく、暴力による被害を引き起こすおそれもある」と批判し、アメリカ政府として法律の撤廃を求めていく姿勢を強調しました。
ウガンダ大統領が反同性愛法案に署名、国際社会の批判を無視(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1O00920140225ウガンダ同性愛処罰法を米非難(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140225/k10015527661000.html反同性愛法でウガンダに警告=米(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014030100149タブロイド紙が「同性愛者リスト」掲載 ウガンダ(AFP)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140225-00000040-jij_afp-int